FRAGMENTATION
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おじさん
2025 09 Gold Mirror Stainless Digital UV Printing 50cm × 67cm × 1.2T 叔父はいつも静かな人だった。大きな声を出さなくても、そばにいるだけで自然と心が安らぐ、そんな人だった。卓球を愛する姿も、何事にも真摯に向き合う姿も、長く記憶に残っている。幼少期に最も印象的だったのは、子どもたちの髪を丁寧に結び、最後まできれいにピンを留めてくれた姿だった。それは特別なことではなかったが、その小さな手には愛と優しさがそのまま込められていた。時が経っても、人は顔よりも印象を先に記憶するものだ。私にとって叔父は、いつまでも温かな笑顔で心に残る人である。
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クリスマスのミルク
2025 09 Gold Mirror Stainless Digital UV Printing 57.5cm × 50cm × 1.2T 日本で暮らしている私にとって、クリスマスは自然とミルクを思い出させる季節となった。ここ2年ほど、知人の依頼でしばらく一緒に過ごしたビションのミルクは、ふくよかな体で家の中を忙しそうに駆け回り、笑顔をもたらしてくれた。特別な出来事があったわけではない。家族と共に夕食をとり、ミルクを見つめて微笑み、平凡な時を共に過ごしただけだ。しかし、時間が経った今でもクリスマスを思い浮かべると、まず思い出されるのはあの日の空気とミルクの明るい姿である。年に一、二度の短い出会いだったが、ミルクは私たち家族に温かなクリスマスを贈ってくれた。だから今でもクリスマスが来ると、真っ先に元気な足取りと澄んだ眼差しが、記憶の中へ再び歩み寄って来る。
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あの日はそうだった
2025 05 Gold Mirror Stainless Digital UV Printing 50cm × 61.3cm × 1.2T ある日ふと、笑うべきか、何も言わずにいるべきか、一瞬迷う時がある。確かに笑っていたはずなのに、心のどこかは少し重く、平気だと思いつつも説明しがたい感情が一緒に押し寄せる瞬間がある。一つの感情だけでは整理できない気持ちが、しばし顔の上にとどまった。笑顔とためらい、安らぎとぎこちなさが入り混じる表情は、時が経つにつれて少しずつ薄れていき、残ったのは正確な出来事よりも、目つきや口元をかすめて過ぎた感情の痕跡だった。私はその記憶を一つの顔にそのまま戻すのではなく、記憶の中に残った感情をいくつかの断片に分けて再びつなぎ合わせてみた。異なる欠片が一つの顔の中で重なり、離れるように、その日の気持ちも一つの感情で説明できなかった。確かに口元には微笑みが残っていたが、それが喜びだったのか、無理につくった笑顔だったのかは、もうはっきりしない。何があったのかも少しぼんやりしている。ただ、その日の表情とその中にとどまっていたいくつもの感情だけが、今も記憶の中に残っている。 その日はそうだった。
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ROBOT
2025 05 Gold Mirror Stainless Digital UV Printing 50cm × 58cm × 1.2T 過去から現代に至るまで、ロボットという存在は人間にとって特別な想像の対象であった。人間に似たロボットは、感情を理解できるかのように感じられ、時には人間よりも純粋な存在であるという期待を抱かせた。幼い頃、私は現実よりもSFアニメやゲームに登場するロボットの世界により深く没入したものだった。角ばり機械的に分割された形態と人間に似た顔は強い印象として残り、そのイメージは時が経つにつれ、記憶の中で少しずつ薄れ、変形していった。本作は、そのかすかになった記憶を再び呼び起こしながら制作した作品である。顔を成す数多くの断片は、機械の構造であり記憶の構造を意味する。断片は散り、再び繋がれて一つの顔を作り出すが、完全な形には到達しない。私はその間において、人間と機械の境界よりも、時とともに変化する記憶と感情の姿を見つめたいと思った。
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あの夜、時は流れ 私は止まっていた
2025年5月 ゴールドミラーステンレス デジタルUVプリント 64cm × 50cm × 1.2T 夜が深まるほど、時は果てしなく流れていくのに、私はその場に立ち止まっていた。 あなたを思い出すことが、これほど静かで残酷だとは知らなかった。皆が眠る夜、静けさのなかで響く恋しさは、どんな言葉よりも鮮明に胸を揺らした。あなたの息づかい、あなたの笑顔が、ずっと昔の記憶の風景のように一つ、また一つと浮かんでは、するりと消えていく。あとに残ったのは、眠れない私と、ただ流れていく時間だけだった。時間はほんとうに無情で、私はその流れを恨みながらも、ついにつかまえることができないまま、あの夜をひたすら過ごすほかなかった。
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どこかで見たクマ
2025 09 ゴールドミラーステンレス デジタルUVプリント 55.5cm × 50cm × 1.2T どこかでよく見たようなクマがふと浮かび上がった。名前は思い出せず、いつ初めて会ったのかもわからなかった。幼い頃、抱いて眠ったぬいぐるみだったのか、テレビの中で通り過ぎたキャラクターだったのか、記憶はかすかに混ざり合っていた。時が経つにつれ、鮮明だった姿は少しずつ消えていったが、大きな目と見慣れた表情だけは不思議なほど長く残っていた。その顔は一つの記憶ではなく、いくつもの記憶が重なった姿だった。私はその微かな記憶を一つずつつなぎ合わせ、どこかで見たことはあるが正確には思い出せないクマの顔をもう一度作ってみた。時には、名前よりなじみ深い感覚の方が、より長く記憶に残る。
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そんな日だった
2025 09 ゴールドミラー ステンレス デジタルUVプリント 61cm × 50cm × 1.2T 久しぶりに同年代の友人たちと会った。昔のように笑い合い、賑やかに近況を語らう時間はあっという間に過ぎていった。何も変わっていないと思っていたが、ふと彼女たちの顔に時の流れを感じた。子どもを育て、仕事をし、家族を支えながら過ごしてきた日々が、何も語らずとも顔に残っていた。幸せじゃなかったわけではない。それぞれが大切な人生を送りながら、喜びと悩み、責任と愛が共に積み重なっていたからだった。そのわずかな瞬間、私は笑顔の向こうにそれぞれの時間を見ていた。誰も同じ人生を生きていないが、皆それぞれの場所で今日を生きていた。 あの日は、そんな日だった。
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混ざってしまった記憶
2025年5月 ゴールドミラーステンレス デジタルUVプリント 50cm × 50cm × 1.2T
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春の日のイェッピ
2025 05 ゴールドミラー ステンレス デジタルUVプリント 50cm × 50cm × 1.2T ゆっくりと道を歩いていた。道路には車が通り過ぎていた。いつもと変わらない平凡な一日だった。私の隣では、腰の曲がったおばあさんがゆっくりと歩いていた。おばあさんが言った。 「イェッピや、行こう。」 おばあさんのそばには、体が大きくお尻がぷっくりとしたブルドッグが、よたよたと歩調を合わせてついて行っていた。小さくてかわいらしい名前とは違い、どっしりとした体つきがなぜか微笑ましく、愛らしかった。イェッピは時々歩みを止めて道端の匂いをかぎ、また何事もなかったかのようにゆっくりとおばあさんのそばへ戻った。 そしてその日は、春の日だったように思う。
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ミナミ(美男이)
2025 05 Gold Mirror Stainless Digital UV Printing 50cm × 50cm × 1.2T ミナミに初めて出会ったのは、小学校に入る前だった。大きい叔母が我が家に送ってくれた小さな子犬だった。「ミナミ」という名前は、幼い私には長い間不思議な名前だった。なぜその名前だったのかは覚えていないが、その名前を呼ぶたびに自然と笑みがこぼれていた気がする。今は写真一枚すら残っていない。しかし記憶の中には、ミナミの顔や共に過ごした時間がかすかな場面のように残っている。時間が多くのものをぼやかせたが、あの時の温かかった感情だけは今も心の奥にとどまっている。